Collar×Malice -Unlimited- 【アドニス編】感想

 

 

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アドニス√はFDで特に期待していた物語。

ただ初っ端から裏切られた。まさかの、(ほぼ)柳√の黒幕エンド派生の物語。絶対的に冴木くんとは幸せな未来を掴めないの確定。ザ・鬼畜ゲー。と思いましたけど、結果としてはアレしかないと思えるかなり良いストーリーでした。ずっとバトエン進んで行かなきゃならない感じめちゃくちゃ好きでした。

 

 

この√の一番納得いかないところは、香月がもういないこと……無理。香月と瀬良くんは永遠なのに、どれもこれも一緒の未来がないんだけどどうして?ねえどうして??(モンペ)話がそれちゃうので、心にしまっておきます…。

 

 

 

 

冴木くんがヒロインに抱いていた感情は形容できるものじゃないことは分かった。恋愛とかそう言う次元のものじゃない【恋だの愛だの甘やかな名称で語られるような、生ぬるいものじゃない】が的確ですね。

これが正解かどうかは分かんない。

冴木くんの考えていることは、おおまかにわかるけど、分からない。プレイした方なら絶対分かってくれると思ってます。

 

何者でもない。哀しみの器でしかなかった冴木くんが、はじめて真っ直ぐで純粋な友情・親愛の情を向けられた相手がヒロイン。

その子に、存在を認識してほしかっただけ。悪意を向けられて打ち勝てるのか、知りたいだけ。行動原理は本能的なものなのでした。

殺されたい以上に、殺意と同じくらいの想いが欲しい。憎しみでもなんでも、自分だけに向けられる想いの強さを感じたかった。こんなにも【悪】なのに一番哀しい人なんだと思う。

 

 

同僚であった彼と語り合ったことも嘘だと言ってくれれば、いっそ憎めるのにそれを壊した本人が愛しむように昔を語る。憎しみを持ち続ける選択肢以外を消したひどいことをしている自覚はあっても、イコールヒロインを苦しめたいじゃない。地の底に落としておきながら楽しそうじゃない。ヒロインを傷つけておいて、自分も哀しそうな顔をするから分からなくなる。閉じ込めていた情が沸いてしまうと、憎むべき相手なのに、そうじゃないのかもしれないと錯覚してしまう。

 

 

冴木くんは【同僚の一面、テロリストの一面】すべてが自分自身だと言うように、過去のすべてに嘘はない。"あの頃、たしかに感じた安堵と共感と信頼。だからこその、耐えがたい苦痛。"アドニスのせいで、「仲間も、大切な家族も、友人である冴木弓弦という存在も失った」という一文がすごく印象的でした。奪った相手は、奪われた相手でもあるんだよね。矛盾しているけど、嘘じゃない……。

ヒロインは悪に対抗するために生きているからアドニスという存在が無くなれば、「お前の生きる意味が、なくなる」というところまで理解して、自分だけに向けられる憎しみが心地よかったのだと思っています。

 

 

ゼロの調査では、冴木くんであった影がチラつくせいで、ヒロインの心が不安定なのが伝わってきた。演技じゃなかった会話の数々や、冴木くん自身が認識していたかはわからないですけど、好きなの子タイプ。

ただ、その好意は普通じゃなかった。

「死にたいとは思わないし、死なない」

「でも、お前の手で終われるなら、それ以上の結末はないと思ってる。お前に、終わらせて欲しい」

矛盾だらけでもそこに嘘はない。それが、冴木くんという"個"なんじゃないかと納得できました。

 

 

 

そして、この√は【死】がTRUEエンド。

「これまで生きてきた中で今がいちばん、満たされてる」

「お前だけに明確な殺意を向けられて、やっとだ。やっと満たされた」

冴木くんは【何者でもない誰か】として生きてきたから、この時やっと自分自身を認識して、自分自身の哀しみを認識出来たのかな…。

「これでもう.…泣かなくて済む」

と涙を流した冴木くん( ;  ; )嬉しさだったのか、哀しみだったのかは分からないけど、"救われた"瞬間だったと解釈しました。

 

 

バトエンと言うにはあっさりしているかと、メリバと言うには綺麗すぎる印象です。一緒に地獄に堕ちてくれ。これ以上ない愛の言葉だと受け取った( i _ i )

ただ、"ここではない、別の世界でなら。冴木君と笑顔で過ごせる日々が存在するのかもしれない。"そんな世界があればいいな……。

 

 

 

 

 

望田さんのSSは、すべての総括だったと思います。自分が何者か分からないことが怖いから、誰かにすべてを認識して欲しい。承認して欲しいっていうのが本心だと思いました。分からないところが冴木くんの魅力で、危険なところでもある。

"慈しみ、愛しさ、憧れ、執着、支配欲、どれも当てはまるようで当てはまらない。だが、あれは、救いを求める目だった"と望田さんが二人の関係性を誰よりも理解していて、心の底に留めていることに泣いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

お前と手を繋げる世界があれば良かった。
それくらい想ってたし好きだったよ。

これがすべてだ。冴木くんの包み隠すことのない、優しい愛情。そう思っておきます。