百花百狼~戦国忍法帖~ 蝶治郎√
※ ネタバレ有り
百地蝶治郎(CV.鳥海浩輔)
任務に忠実な兄様。長の命ならヒロインを手にかけることから厭わない冷酷な印象を前√で植え付けられていたので、この√では葛藤の面が見えたりと心を痛めながらのプレイでした。
蝶治郎さんは従兄弟であり師匠であり、圧倒的なお兄ちゃん感。親しみやすい感じじゃなんて、本当に兄様って感じ。作中でも出てきましたが、ヒロイン含む弟子たちに一枚壁を貼ったような印象。一歩引いて俯瞰で見ている人。
ただ、その理由が哀しくて…大事な人が出来たら失うときがつらい、と言う。伊賀の里を殲滅されたされた時のことをちゃんと覚えているひとりで、しょうがないんだけど悲しい。
これまでの流れで牢獄から助け出してくれるのは、蝶治郎さんかと思ったけどやっぱり違った。任務を放棄することを即座に選べるタイプではないですよね…。
月下丸と吾郎さんとの逃亡生活が始まります。
素直に言うと私なら絶対どちらかに落ちてる()逃亡を手伝ってくれている上に四六時中一緒で、2人とも世話焼きなんですよ?恋が始まりませんか????(ごめんなさい)
蝶治郎さんが追い忍として殺しにきたとき、覚悟を持って対峙したヒロインは立派でした。後々「言い訳の一つもせずにただ構えた」と兄様が賛辞するように、「兄様が忍びだから」と彼に言葉を掛けられる誰よりの理解者である唯一無二の弟子であり女の子なのが本当凛々しい。ひとつ文句を挙げるなら、すぐ自害しようとするところですかね…。めちゃくちゃ分かるけどさ!!!こっちは俯瞰で見てしまうから…。
殺され掛けたにも関わらず、蝶治郎さんに会いたいな…って思っているヒロインの懐の広さというか性癖レベルにも達している感情にはどうしても同調できなかったけど、何か通ずるものがあったんでしょう。
そんな忍びとしての任務命の蝶治郎さんが「私の服を掴み、私を呼んだお前の鼓動が小さくなっていくのが……耐えられなかった」はじめて本音を吐露したシーンは本当にキツかった。仲間たちが次々に殺された末に、みんな自分を守ったことで命を落として自害しようとした時に悲しそうな蝶治郎さん。
「任務よりも大切なものがあった。失いたくなかったのだ。お前のことも、皆のことも……」
「気付いていなかっただけで、いや、気付かないふりをしていただけで、何よりも大切だった……」
失ってはじめて言葉に出来た蝶治郎さんの運命も、秀吉の狂言もわかってるから悔しいし、とにかくやるせない……。
「空を、花を眺めるお前を愛おしいと思うし、お前に話す言葉一つ一つを心に留めて繰り返す」「ただ気付かなかっただけで、昔からきっとそうだったのだろう。だからふとした拍子に思い出す」彼の言葉選びマジで逸材じゃないですか?気持ちを押し殺してきた蝶治郎さんが言う、愛おしさを完璧に表したセリフだと思うんですよね。
失うことに恐怖を覚えた蝶治郎さんはドストレートな方でした。「ずっと傍にいてくれ。」と本当に哀しそうにいうんですよ(;_;)
伏見城に戻ってからも秀吉の狂言は続きます。2人で殺し合えと、言われた時本当にどうするのか戸惑いましたが、そこは乙ゲ黒雪たちの援助もあり見事逃げ延びます。
本作はラストにヒロインへの愛の言葉が本当にいいんですよ〜!!!
「時間がかかっても、言葉にならなくても……必ず伝えよう」
「全てを振り返って泣かずに済む日まで、共に生きて良かったと思える日まで……」
「お前のために、私の全てを捧げよう。これは、誓いだ」
泣かずに済む日まで!!!!!あ〜〜悲しい出来事ばっかりの日々にこうやって誓ってくれる蝶治郎さん天才でした。
やっぱり生きてる黒雪は強い。
そして、バトエンの美しさの凄まじいこと。
心中はハピエン(暴論)だから、あそこまで綺麗に逝けるのは割と珍しい気がする。蝶治郎さんは怯えてて、それを諭した上で、「お前と逝けるなら悲しくない」と判断させる気概のあるヒロインも強くて弱い。